あなたは死にたいと思ったことがありますか?(中学生編)
各回答を男女別で見てみましょう!(中学生編)
学年別で見てみましょう(中学生編)
やか子さんは、学生のときに「死にたい」と思ったことはありますか?
今回の調査では、「いいえ」と答えた中学生は69.6%でしたが、「過去に試みた」と答えた人は5.3%でした。
ええ~!
20人に1人の子が過去に試みたのですか!「ときどき」が5人に1人、「常に思う」が50人に1人!そんなに多いのですか?
私も驚きましたが、日本だけでなく海外の若者も同じような結果を示していました。
若者の自殺は世界各国で問題になっています。15歳から19歳の若者の死因の第1位は自殺です。
な、なぜですか!
あっ、最近のニュースで若者の自殺が少し増えているって聞きました。
下の円グラフと棒グラフは、性別による違いと学年による違いを示しています。
性別では女子生徒のほうが「死にたい」という気持ちは強いみたいです。学年別では「過去に試みた」が中学1年生から3年生にかけて少しずつ増えています。
高校生になると、もっとひどくなるのですか?
あなたは死にたいと思ったことがありますか?(高校生編)
各回答を男女別で見てみましょう!(高校生編)
学年別で見てみましょう(高校生編)
高校生で「過去に試みた」と答えた人は5.6%で中学生と一緒でした。その他の比率も中学生と同じで、やはり女子生徒のほうがそのような気持ちになる方の比率は高いみたいです。
多くの子が「死にたい」という気持ちを抱くことはあるけど、それがすぐに自殺につながるということではないのですね。
その通りだと思います。
でも、中高生の自殺の原因にはどんなことが考えられているのですか?
学業の悩み、将来の進路の悩み、親子関係の不和、いじめなどが原因としてあると言われています。そして高学年になると、うつ病などの精神疾患も原因になると言われています。
今回の調査で、子どもたちの「死にたい」気持ちを予測することなどについて、何かわかりましたか?
死にたいと思う気持ちと、友だちの数の関係について
「友だちはどのくらいいますか?」
友だちの数、幸福感、孤独感、家族との対話という4つの項目と「死にたい」気持ちを比較してみました。
幸福感とは「幸せと感じているか」という気持ちですね。孤独感とは「ひとりぼっちと感じること」ですね。
友だちが「ほとんどいない」と答えた人が、中高生とも1%ほどおられました。その子たちはとても強く「死にたい」という気持ちをもっておられていました。
悩みを相談できる友だちがいないということですね。「死にたい」と思っている気持ちを誰かに伝えることができることは大切ですよね。
help-seeking が、自殺予防には大切と言われています。help-seekingとは、援助要請や援助希求と言われます。助けを求める行動ということです。
自分の気持ちを自分の心の中だけに留めないということですね。
死にたいと思う気持ちと、日頃の幸福感との関係について
「いま、幸せだと感じていますか?」
次に、「幸せと感じていますか?」と、「死にたい」という気持ちの関係です。
まず、中高生のどのくらいの子が日頃より、幸せと感じているのですか?
中学生の69%の子が、高校生の66%の子が、「いつも」、または「しばしば」、幸せと感じています。そして中学生の1.2%の子が、高校生の3.3%の子が、「まったく幸せでない」と答えいます。
中学生も高校生も、「まったく幸せでない」と答えた子たちの「死にたい」気持ちは、「幸せ」と答えた子たちよりとても高いですね。
前回の「家族について」の報告の中で、家庭内の家族の会話が多いほど、子どもたちは「幸せ」だと感じている傾向がありましたね。
でも、「いつも」、「しばしば」、幸せと感じている子の中にも数%、「過去に試みた」や、「常に死にたい」と考えている子がいるから、気をつけないといけないですね。
死にたいと思う気持ちと、日頃の孤独感との関係について
いま、ひとりぼっちだと感じることがありますか?
そうですね。孤独感を感じていない子の中にも一定数、死ぬことを考えている子もいます。
ひとりぼっちと「いつも」感じる子はどのくらいいたのですか?
中学生で1.9%、高校生で1.7%でした。この子たちの中で、死にたいと「常に思う」、「過去に試みた」と答えた人は、40%近くもいました。
家庭でも、学校でもひとりぼっちと感じているのでしょうね。とてもつらいですよね。
他にも、「いま、健康だと感じていますか?」という質問においても、「まったくない」や、「たまにしか感じていない」子は、死にたい気持ちが強い傾向にありました。
友だち、幸せ、ひとりぼっち、健康……。家族との関係はどうでしたか?
死にたいと思う気持ちと、 家族との会話との関係について
あなたの家族は、家の中でよく会話をしますか?
「家族が、家の中でよく会話をするか」と死にたい気持ちも強い関係がありました。会話が「まったくない」家庭では、子どもが死にたいと思う気持ちが高いようです。
日頃より家族が家の中で会話する雰囲気があれば、さきほどのhelp-seekingを表すことができますね。
はい、そう思います。でも、自殺する原因はたくさんありますから、日頃より家族の会話がある家庭でも起こりうることです。
私もそう思います。思春期って、自分は何者だ、何をしたらいいんだって、迷う時期でしょう。誰もが生きることと死ぬことを考える時期だと思いますよ。そのときに、将来のことや、成績のこと、友だち関係や、いじめのことで追いつめられるのじゃないかしら。
学校の先生や、保健師さん、助産師さん、お医者さん、その他にも多くの方々が、どのようにしたら、子どもの自殺を減らすことができるか考えています。
「死にたい」という気持ちになったらどうしたらいいか、子どもたちにも教えていくことも必要と思います。
健やか親子21は、平成13年から始まった子どもたちの健やかな成長を育むための国民運動です。様々な方々の努力で子どもたちの生活環境は改善してきました。喫煙飲酒率は下がり、性感染症や妊娠中絶の率も下がりました。しかし、自殺率だけは改善なく、わずかに上昇しています。自殺予防教育を学校保健教育、家庭教育、コミュニティ教育の中に取り入れていくことが大切です。
次回、「子どもが死にたいと思うとき(悩みについて)」の結果は、2017年10月下旬に公開予定です。
※本成果物は、平成28年度厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業の助成及び健やか親子21推進協議会の協力を受けて作成したものですが、記述内容につきましてはあくまでも当研究班の見解となります。
ご意見お待ちしております
今回のアンケート調査結果や、思春期の保健課題など、皆様からご意見がいただければ幸いです。
ご意見投稿はsukoyaka@kurume-u.ac.jp(久留米大学 研究班)までよろしくお願いいたします。